さと45の解雇録

始まりの日ーー解雇通知は突然に【面談1】

上司

さと45さん。突然で悪いけど、職場の向かいのカフェにこの後きてくれるかな?

さと45

???
はい、わかりました。

それはまだ試用期間中。
意欲だってまだまだ高い月曜日の午前中の出来事だった。

「その日人類は思い出した ヤツらに支配されていた恐怖を… 鳥籠の中に囚われていた屈辱を……」

進撃の巨人 第1巻

カフェにて不意打ち、解雇予告通知書を手渡される

呼び出されたカフェにて、進捗状況の報告と軽い雑談の後、不意に封筒が手渡され。

上司

解雇通知です。中身を確認してもらえるかな。

さと45

!?!?!?
はい、わかりました。

そこに記されていたのは、入社日からちょうど3ヶ月後の契約満了として、本採用を見送る。との内容だった。
理由は「当社の求める社員として不適格との判断に至ったため」とのこと。

さと45

なるほど。ちなみに具体的な理由を伺っても?

解雇理由を尋ねると上司に異変が!?

普段は居丈高な態度であることが多い上司が、私から距離を取りたがるように背もたれに体を預けて。目を泳がせながら蚊の鳴くような声で下記のようなことを言ってきました。
周囲もうるさくて純粋に聞き取れなかったので体を前のめりにして耳をそば立てると。

上司

総合的な判断にはなります。試用期間中であるので、具体的な数字ベースでの資料があるわけではないのですが……。勤務態度、協調性に至らないところが見られたためです。

さと45

(具体的な数字はないよね、うん。出せる業務でもないし。
むしろ作業時間の短縮目安のために勝手にタイムアタックして日報に記入して書いてはいたけど。)
なるほど。

上司

……理解してもらえましたか?

なんだか戦々恐々としている上司。
この上司が私を面談して採用を決めた本人だった。
だから綺麗な言葉でまとめてはいるが、
「あの時の」「この時も」と色々と出てくるのを待っていたのだが、特に出てこない。

さと45、うっかり合意めいたことを言ってしまう

わずか5行ほどの短い通知書。
しかも書面をスキャンしたものを出力して手渡してきたので、文字の細部ががびがびな書面。謎の影も入ってるし。お粗末な書面。

さと45

(いやいや、理解できるわけないやんか。
もっと具体的なのないの?私を見ていた直属の上司なんだから、
解雇を提言する場で「さと45がどんなに使えない奴か」を説明したりしたんじゃないの?)

とは思いつつも、少しほっとしたのは事実でした。
というのはその前の週あたりから、謎の社風の説明が度々有り、
自分はこの会社に長く居てストレスに感じないだろうか?と疑問がわいていたからでした。

曰く、「社長や得意先をもっとちゃんとおもてなしして欲しい。」「新人なので率先して雑務をこなして欲しい」「効率重視でいろいろと提案してもらっているが、この際効率を度外視していいから、(社内の人間関係を鑑みた)手続きのほうを重視してくれ」「そしてそれに対して気持ちのこもった応対をてほしい」「お茶出しを積極的にせよ」などなど、そのほかの細かいことも。

仕事内容は面白いと思ってましたが、正直ひと月過ぎて飽き始めていたのもあります。
上記のような社風の話を(先輩社員を含めた場でも)度々言われるようになり、
私と会社とでは大事にしてるものが違うんやな。と思っていたところでした。

なので解雇に対し、自分から退職を願い出る手間や罪悪感がなくなり、
ありがたいとも少し思ってしまいました。

さと45

んーーまぁそうですね。
先週から度々、社風?に関するお話があったかとは思います。
先週の金曜日には具体的な改善点のご指示があったのもありましたので、
改めるべきところは改めて行こうと思っていたところでしたが……。
大事にしている観点が違うなということは、こちらも思っていたので、
早くに言っていただけてありがたいなとは思っています。
OJTをしてくれた先輩社員の皆様には申し訳ない気持ちです。

上司

それは気にしないて大丈夫です。
では残り1ヶ月となりますが、こちらの勤務は引き続き宜しくお願いしますね。

さと45

はあ。

ここでなんだか腑に落ちない気持ちになりながらも、会社に戻り午後の仕事をこなす。
やることはあったので、淡々と取り組むも。
明日からひと月、一体どんな気持ちで仕事に臨めばいいんだ?

解雇かー。
正直そんなにショックでもなく、ただ次を探すのが面倒だなという気持ちになった。
あとは転職祝いをしてくれたり、転職の報告をしたばかりの知人たちの顔が浮かんだ。

帰宅してからじわじわと湧く、おこな気持ち。

勤務態度と協調性。勤務態度と協調性。勤務態度と協調性。勤務態度と協調性。

上司からの言葉が頭に響いていた。
私は自分で言うのもなんだが、勤務態度は悪い方ではない。
前職で評価されたのも「真面目な態度」くらいのものだ。
「さと45さんが嘘を言ったり、適当なことをするはずがない。とても真剣にやってくれる」と何故かあまり関わりのなかった役員から太鼓判を推されていた。
それで微々たるものながらも、給料も少しずつ上がっていた。
自己肯定感もそんなに高くないので「自分には真面目に取り組むことしかできない」と、
何かにつけて思っていた。
この会社だって勤務態度が悪いと指摘されて然るべき場面はあまり思いつかなかった。
むしろ試用期間であることをわかっていたから、普段以上に気をつけていたし、
発言を許されている場面では受け身で黙っていてはまずいかなと思って、
一月を過ぎた頃から簡単な提案などは意識的に行なっていた。

でも勤務態度が悪いと。自分を全否定されたような感覚に陥る。
もちろんそんな一社に言われたくらいで自分を全否定なんて拡大解釈だと頭では分かっていたが、じわじわとおこな気分が競り上がってくる。

ちなみに、協調性に関しても特に大きな問題を発生させたつもりはなかったが、
人間関係構築が面倒で接客業から離れたのもあり、苦手意識はあるので、
自覚がないうちになにかやらかした可能性はあった。

その日から「解雇」などのキーワードで色々と調べる日々が始まった。

「その日人類は思い出した ヤツらに支配されていた恐怖を… 鳥籠の中に囚われていた屈辱を……」

進撃の巨人 第1巻

調べ始めて色々と気づくことがあった。

この会社そんないい会社じゃなかったんじゃないかということを。
そんな会社でも解雇されると将来が不安になることを。

盛大にいうとこんな感じ。笑

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